田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
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日刊田中けん

菅直人元首相の除名騒動について

民主執行部 参院選造反の菅直人元首相の除名断念 党員資格停止を提案へ
      2013.7.25 23:16  産経ニュースより


 民主党執行部は25日、参院選東京選挙区で無所属候補を支援した菅直人元首相に対する処分について、24日の常任幹事会で提案した議員辞職勧告と除籍(除名)処分を断念し、党員資格停止処分に軽減する方針を固めた。海江田万里代表が26日午前の常任幹事会で再提案する。党内の慎重論に屈した形で、求心力の低下は避けられない情勢だ。


 海江田氏は25日、党本部で、細野豪志幹事長や輿石東参院議員会長らと、菅氏の処分について断続的に協議した。党倫理規則によると、処分は(1)除籍(2)離党勧告(3)党員資格停止-の3種類。小沢一郎元代表(生活の党代表)が政治資金規正法違反事件で強制起訴された際、無期限の党員資格停止処分を受けたが、菅氏への処分は数カ月の党員資格停止になりそうだ。


 24日の常任幹事会で執行部が提示した処分案に対しては、他の幹部から「重すぎる」と異論が続出。菅氏も、「選挙戦で党の方針と違うことは言っていない」などと処分案の受け入れを拒否していた。 


 海江田氏は輿石氏らとの協議で参院副議長の人選も検討した。輿石氏や北沢俊美元防衛相が浮上している。
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 ご承知の通り、これまで民主党は除名を連発してきた。
 実は私も民主党を除名になった、元民主議員である。
 もう10年以上も前の話だが、この事実は今でも忘れはしない。


 私の場合は、都議選において公認候補となった初鹿昭博氏に対して、当時の地元江戸川区の民主党区議会議員3人全員が承認していないにも関わらず、党本部が勝手に公認決定したことに反発して立候補し、除名になったわけだが、端的にあって、なぜ私が除名になって、菅直人氏が除名にならないのか、その理由がわからない。


 党規則の適用対象者が、元区議会議員だったら厳格に適用し、元首相ならば寛容に適用したのでは、党そのものが、人間不平等を唱えているようなものである。


 規則を適用する上で、最もやってはいけないことを、今の民主党はやろうとしている。


 規則を重視するならば、その規則はむしろ、重責にある人ほど厳格に、責任の軽い人ほど寛容に対応することが望ましいのだ。


 今の民主党は、その真逆を行おうとしている。世俗の垢にまみれた単なる政党に成り下がり、民主党には未来も理想も語る権利は、今ここに無くなったと言える。


 あらためて言うまでも無く、除名とは組織にとって最高刑とも言える処分である。国家にたとえて言えば死刑だ。このような処分を、これまで軽々に連発してきた民主党は、本当の意味で、党員を大切にはしていないし、議員も大切にしていない。ましてや国民など大切にするはずがない政党だと思っていたが、私が当時から予想したとおり、やはり今回のような問題は、民主党に起こるべくして起こってしまった。


 党員を軽々に除名処分してきたつけが、ここに来て噴出したと言って良い。


 私のような組織末端の区議会議員を除名にしたところで、たいしたニュースにはならないだろうが、元首相ともなれば話は違う。これは大いに話題になる。
 しかし、この様な党の体質は、昔からあったのであって、私からすれば驚くに値はしない。ただ顕在化しただけなのだ。


 元首相の除名騒動という事態になって、民主党も初めてことの重大性を認識したのではないだろうか。
 しかし、これでは、私をはじめとして、長年にわたって、これまで民主党から除名され続けてきた党員や元議員たちが浮かばれない。


 江戸川区に関して言えば、私が民主党除名第1号ではあるが、結局は、2012年の衆院選挙にあって、民主党の国会議員だった、初鹿昭博元衆議院議員も中津川博郷元衆議院議員も除名になった。昔話だが、木村長人元区議会議員は、江戸川区支部レヴェルにあって、除名扱いを受けたと聞いている。


 正確なデータは持っていないが、江戸川区に限らず、民主党を除名になった議員、元議員、党員は全国に300名以上いるのではないだろうか。
 だいたい何らかの理由で民主党を辞めた議員は、相当な確率で民主党を除名になっている。
 民主党は昔から「辞めたい」と申し出ている議員に対して、簡単に辞めさせることはせず、除名という不名誉なレッテルを貼って党を放り出す体質をもっていたのだ。
 それにしても、300名という推定値は凄い数である。民主党が結党してから、15年経つが、これはざっと計算して、毎年20人も民主党を除名された人がいるということだ。これでも私の推定値は低すぎるかも知れない。


 さてここからが本題とも言える、今の私の問題意識です。


 今さら政権政党でさえも無い民主党を攻撃対象にしてどうするという人もいましょう。私自身、区議会では「民主・みんな・維新」と民主党の区議会議員とも一緒に仕事をしているので、その意味では民主党の区議会議員に対しては、仲間意識が強いのです。それでもなお、党の負の歴史を私のような経験者が語らなければならなりません。これから作られる新しい野党第一党には、民主党のような失敗を繰り返して欲しくないという思いでいっぱいだから、あえて語るのです。
 民主党の失敗を繰り返してはいけない。だから民主党を批判し続けるのです。


 2013年の参院選東京選挙区については、民主党所属の現職が二人いるわけですから、どんなに選挙で不利になろうとも、私は二人とも公認すべきだという持論でした。もしどちらか一方を公認して、一方を公認しないとなれば、絶対に後で、遺恨が残ると思ったからです。
 結果は公認を1人に絞って遺恨が残り、なおかつその公認候補も落としてしまい、民主党が惨敗しました。同じ落選でも、最初から現職なのだから、公認候補を2人にして戦っていれば、それは遺恨も残らず、正々堂々とした選挙ができたでしょうが、これでは最悪の結果を招いただけでした。
 そして今の菅直人氏の除名騒動です。


 参院選の直前の都議選では、江戸川区でも全く同じような現象がありました。現職の都議会議員が二人とも公認候補として戦って、二人とも落選しました。党としては、せめて一人は当選して欲しかったでしょうが、だからと言って公認候補を一人に絞っていたら、今の参院選と同じような現象になったと思います。
 でも選挙には負けたとは言え、この結果は仕方ないものだと、私は両候補者は納得していると思います。


 私が言いたいのは、党とは、目先の一議席にこだわるよりも、中長期的な党の信頼を獲得せよということなのです。それを党中央の判断により、「当事者の理解もなく、一方を切り捨てるような事をしたのでは、遺恨が残り、党勢拡大にはつながりませんよ」ということなのです。


 


 この様な民主党の失敗を大いに記憶しつつ、民主党に変わる野党第一党を作り出す新たなる運動にあっては、そう簡単に除名を連発しない、いやむしろ、敵となる自民党に習って、あの出入り自由とも言える寛容さから、政党のあるべき姿を学び、新たなる政権交代につなげて欲しいと思うわけです。



 「除名」


 そのような最高処分を軽々に行う民主党のような組織を、私は信用も期待もしないわけです。


2013年07月27日