田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

青山繁晴氏の話

http://www.nicovideo.jp/watch/sm12257488


 今回の中国人船長の釈放を巡っての話。
 釈放の決定に関しては、ほとんどの検事は反対だった。
 しかし、大林宏検事総長が釈放を決定した。最高検の首脳陣たちの中でも、釈放に反対する者の方がはるかに多かった。大林宏検事総長以外で、釈放に賛成している者は、自分が知る限りではいなかった。もちろん那覇地検も実は釈放に反対した。
 9月24日14:30頃、那覇地検の鈴木亨次席検事が、船長釈放の決定を国民に発表した。
 しかし、あの時読み上げた文章は、那覇地検が作った文章ではなかった。あの文章は、大林宏検事総長をはじめとする首脳陣が作った文章であり、那覇地検には無理矢理それを読ませたのだった。
 那覇地検は、上級庁である福岡地検と一緒になって、中国人船長の起訴を決めていた。それも略式起訴ではなく、正式裁判を開くことを決定していた。それを突然、検事総長の決定により覆されたと言うことは、那覇地検にとっても屈辱的なことだった。
 なぜこの様な情報を知り得たかというと、検察首脳陣の中に、実はこの釈放という決定について、自らの志と良心にかけて反対している人がいる。職を賭して、勇気ある証言をしてくれた。
 しかし、だからといってそれを自分自身が鵜呑みにするわけにはいかない。よって、内閣の側、つまり閣僚に対して裏付け取材をした。その上で、このように発言している。
 具体的には、9月24日の決定の前に、仙石由人官房長官が、柳田稔法務大臣を二度呼び出して、「このままだと指揮権を発動しなければならなくなるが、それでもいいのか」と言った。「指揮権発動する」とは言っていないけれども、このまま那覇地検が船長の勾留を続ければ、指揮権を発動させて、無理矢理検察に船長を釈放させるようにするけれども、それでもいいのかということを柳田稔法務大臣に言ったことになる。つまり法務大臣に圧力をかけたのだ。検察官の中には厳しい言い方として、「法務大臣を脅した」という者もいた。
 柳田稔法務大臣が、このような圧力を受けた事実は間違い無い。指揮権発動するとは言っていないが、「する」と言うのと同様の小賢しい言い方をしている。
 それに対して、柳田法務大臣はそれを阻むのではなく、そのまま大林宏検事総長に伝えてしまった。大林宏検事総長は、最高検の№2以下の人たちも含め、そこに船長釈放に賛成する人はいなかった。その中には、「指揮権発動するのならば、指揮権発動させた方がいい」と発言する検事もいた。そうすることによって、誰がこれを決定・指示したのか、国民の前に、世界の前に見せた方がいいという意見が強かった。
 しかし、大林宏検事総長は、その意見を退けて、福岡地検と那覇地検に対して、「指揮権が発動されても、されなくても、船長は釈放されるのだから、それならば指揮権が発動される前に、検察自らの発言として船長を釈放した方がましだ」という理由から、直ちに記者会見を開いて、発表文章は、こちらで(最高検で)用意するから、手続きを整えた後に釈放するよう命令した。
 検察庁とは、完全なピラミッド組織だから、大林宏検事総長は独裁的な力を行使できる立場にある。ただし、それは大林宏氏の個性ではなくて、組織の仕組みがそうなっている。
 これが真相である。よって那覇地検次席検事が発表した文章は異例中の異例であった。そこには、2つのことが書かれていた。1つ目は国民生活への影響。2つ目は日中関係の今後。この2つとも検事が言うべき事柄ではない。通常、検事は事件の処分について語るとき、法と証拠のみに基づいて、起訴または不起訴と決める。それなのに今回の決定は、処分保留で釈放している。検察は、起訴、または不起訴という権限を持っているにも関わらず、それを行使できなかったということになる。理屈の上では、処分保留だから、あとで起訴できると言うことになるが、今回はそうじゃない。検察は、行使すべき権限が行使できなかったと言いたかったのだ。
 2つのことを言っているが、後者の「日中関係の今後」とは、官邸からの政治的な判断として、指揮権発動まで含めたプレッシャーを受けていたことを示唆していた。もう一つの「国民への影響」とは、経済界からのプレッシャーのことを意味する。それも複数人の経済人から検察はプレッシャーを受けていた。
 「検察だけいい子になって、検察だけ正義の顔になって、それでいいのか。その影で日本経済が決定的なダメージを受けたり、破綻に追い込まれたとしても、検察だけはいい子でいいのか。それで正義と言えるのか」
 文言の中には、国民生活への影響というものもあったから、発表の時に、「国民への影響」と言ったのだ。
 これは、あくまでも自分自身が取材した限りの事実関係である。
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 青山繁晴氏の取材による公表が事実であるならば、今回の尖閣諸島中国漁船衝突事件における船長釈放という大失態の責任者がハッキリした。


まず第一に、大罪を犯したのは、仙石由人官房長官である。この人物が、船長釈放の最終的な判断を決定したからだ。


第二に、大罪を犯したのは、大林宏検事総長である。この人物が、直接的に、那覇地検に対して、釈放するように命令したからだ。指揮権発動となれば、辞任は避けられない。つまり自己保身のために、指揮権発動を阻止したのだ。その結果、形式的には自主的に船長釈放を決定し、検察が政治判断をしてしまった罪は重い。


第三に、柳田稔法務大臣である。この人物は、自分が全くどんな職責にあるのか理解していない無能の大臣だ。何の見識も考えもないから、官房長官に言われたとおりに、動く郵便配達人でしかなかった。およそ、法務大臣という重責を担える人物ではない。


第四に、名前こそ出てこなかったが、検察にプレッシャーをかけたという複数の財界人である。中国に関連して目先の利益を優先した。長期的な日本の利益よりも、短期的な私利私欲に走り、12700万人余の日本人のプライドを傷つけた。政治よりも経済を優先させ、魂を金で売り、日本人を更なる危機へと追い込んだ罪は大きい。


 せめて、どこかに杉原千畝のような人物がいれば、この様な船長釈放という大失態をしなくて済んだのかも知れない。自分の職を賭してでも、自らの良心に従って、仕事ができるような日本人は、残念ながら、今回の事件では登場しなかった。


2010年10月02日