田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

t_ken

日刊田中けん

罰金の上限を決めよう

罰金払えず…刑務所 出所後生活を支援 岡山刑務所
                     2011年1月25日 asahi.comより
 懲役刑に比べれば軽い罰金刑で済んだのに、お金を払わず、労役のために収容されてしまう人の割合が増加している。罰金の高額化と貧困層の拡大のためらしい。貧困と犯罪の負の連鎖を断ち切るため、岡山刑務所(岡山市)は昨年4月から、労役を終えた後の生活再建を支援する取り組みを進めている。(平井恵美)


 罰金刑は、交通違反や窃盗罪などで科される。未納者には逮捕状の代わりに「収容状」が出て地検に連行され、「労役場留置処分」となる。刑務所などで部品の研磨作業といった軽作業が科され、日額5千円程度の計算で罰金額に達するまで留置される。


 昨年12月初旬、岡山刑務所での作業の様子を見た。鉄格子を隔てた8畳ほどの居室で男性3人が小さな机に向かい、自動車の部品を木の板でたたいて平らにしている。私語は厳禁。平日の午前7時40分~午後4時10分までで、休憩は2回、計40分のみ。居室外へ出られるのは、1日1回30分以内の運動と、冬場で週2回の入浴時のみ。それ以外は、トイレと流しが据え付けられた居室で過ごす。


 岡山刑務所に労役場留置処分で収容された人は、昨年4月~11月末までで68人。20~70代で、平均年齢は48歳。道路交通法違反と窃盗罪が76%を占め、平均留置日数は64.75日に及ぶ。68人のうち、生活保護受給者は16人で、労役を終えた後の生活が成り立たない人もいるという。


 こうした状況に、岡山刑務所は昨年4月から、収容後すぐの留置者に、社会福祉士が面会するようになった。家族関係や労役終了後の生活設計を聞き取り、住居や生活保護申請の支援をするためだ。
-------------------------------
 罰金には上限がない。つまり、禁固刑ではなく、罰金刑だとしても、仮にその額が1億円ならば、それを払える人などごくわずかであり、記事にもあるように、「労役のために収容されてしまう」ことになる。
 果たして何のための罰金刑なのだろうか。既に罰金刑は罰金刑の体裁を取れず、事実上の禁固刑となってしまっている。
 行政は、「罰金は額が高ければ高いほど、犯罪抑止効果がある」と言うだろうが、死刑に犯罪抑止効果が期待できないのと同様に、罰金の額によって犯罪の抑止効果が期待できるとは、私は思わない。
 むしろ罰金刑は、安易な微罪逮捕、起訴、有罪を産み、多くの人々を犯罪者へと変身させている。


 そもそも犯罪者の半数は貧困が理由による、窃盗や強盗などの犯罪であり、本人が貧困に陥っているのに有罪になったからと言って、罰金など払えるわけがない。貧困者の生活改善を目的とした刑務所よりも自由が認められた半強制収容所のような福祉施設と、福祉刑務所が必要なのである。
 そうやって、犯罪者を分類すれば、半数は貧困者、半数は麻薬中毒などの病人、凶悪犯罪などごくわずかな人だけを刑務所は相手にすればいい。


 今、刑務所は、最後の福祉施設となっている。なぜならば、刑務所は決して、入所を断らない、断れないからだ。刑務所内の、「忘れられた人」たちの人権を考えれば、そこは事実上の福祉的役割を担わされているのだから、もう少し待遇改善をしてもいいだろう。
 最低でも、週二日しか入れない入浴の機会を、毎日入浴できるようにしてあげたいものである。どんな罪を犯した者であっても、毎日入浴することは、基本的人権の保障に抵触するはずだ。


 話は戻るが、罰金刑は、その人の年収の10%を超えてはならない。などの法制化が必要と考える。そうでもしなければ、結局は罰金を払えずに、労役のために収容される人が、これから更に増えていくことだろう。


2011年01月25日