田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

なぜ第三極は、伸び悩んだのか

 衆院選挙が終わった。私は無所属なので、誰の応援をしても構わないし、誰の応援をしなくても構わない立場だった。


 これまでの人間関係と思想信条を鑑みて、みんな・維新・民主の候補者を個人的に応援した。


 つまり非自民の政治勢力に対する期待を微力ならが、形として表したのが、今回の選挙戦応援だった。それにしても、なぜ第三極は伸び悩んだのか。


 第三極の雄である日本維新の会は、選挙前に予想された100議席など取れなかった。その理由は、太陽と維新の合流にあると考える。


 もちろん、維新とみんなが合流するのが理想的ではあったが、仮にその合流が破綻して、太陽と維新が合流したとしても、意見が違う2トップ体制で、政党は前に進まない。


「一人の愚将は、二人の名将に勝る」


 ナポレオンの名言だ。


 当時、ナポレオンの勢力が強くなりすぎることを恐れたフランス政府が、ナポレオンの力を弱めるため、もう一人の将軍を送り込もうとしたときに、ナポレオンが発した言葉だとされている。


 つまり軍隊(戦う組織)にとって、指示命令系統の一本化は、鉄則である。もしこのことを肝に銘じておけば、石原慎太郎氏と橋下徹氏が、同時に違うことを言う愚を犯さなかったかもしれない。


「時に戦術的失敗は、戦略的勝利の為に存在する」


 石原慎太郎氏が「原発を継続する」と発言したことは、戦術的失敗だった。これまで橋下徹氏が、知事時代、市長時代と通じて、原発を巡り関西電力と戦い勝ち得てきた功績を無にしてしまった。


 しかし、石原氏のエラーがあっても、橋下徹氏など、旧日本維新の会の幹部たちが、「原発反対」という声をあげず沈黙していれば、日本維新の会は、政策的にまとまりある政党のようにも演出できたはずだ。それに日本維新の会が、原発継続の党であるかのような演出は、原発容認派である自民党支持者から、いくらかの票を奪ってくることも期待できただろう。基本に立ち返って考えれば、小選挙区制とは、いかに民意を集中させるかに、勝負の行方は決まってくるのであって、原発推進派は自民党に支持を集中させ、反原発派は、民主・維新・みんな・未来・社民・共産と、バラバラに支持を散らせてしまったことが、自ずと敗因につながっていることは間違い無い。


 これはTPPを巡る議論についても同様に、日本維新の会は、2トップによる意見の違いを露呈させてしまった。


 政治家の言葉には不思議な力があって、どのような政策であったとしても10分もその主張を聞いていると、その主張は正しいかも知れないと思わせる魔力を持っている。政治家の言動次第で、いかようにでも動いてしまう不安定な有権者はたくさんいる。


 重要なことは、その主張が正しいか正しくないかではなく、最初に言ったことが同じなのか、コロコロ変わってしまうのか。この変化の有無こそが重要なのだ。合否の判断に迷う有権者であっても、「変化したか、変化しなかったのか」これは誰の目から見ても明らかなことだ。


 石原慎太郎氏の主張を、後で維新の会の幹部が否定するなどは、例えその主張が戦術的失敗であったとしても、最もやってはいけないことをしてしまった。主張が首尾一貫していないフラフラした姿勢が、維新の議席が伸びなかった一つの理由であり、その失望感が、みんなの党等の他の第三極に票を分散させて、維新への集中度合いを鈍らせてしまった。維新に集中しない現象は、各地で、自民党の小選挙区勝利へと結びついてしまった。


 相手(太陽の党)のことを思い、相手(太陽の党)の言い分を聞いて、民主的に党運営をしようとしたことが、裏目に出てしまった格好だ。維新の会は、今一度、2トップ体制を見直して、政策も大いに議論して、まとまり感のある、自民党では無い第三極の雄として、その存在感を政界に示して欲しい。


2012年12月17日