「皆様の声を議会に届けます」
選挙中、誰もが使うフレーズです。
私も使います。
これだけの政治家でいいのだろうかと、自問自答しながら。
私がタバコ問題の事を熱心に訴えれば訴えるほど、それに反発する有権者がいます。
「タバコのこと何かどうでも良いんだよ。年金のことをやってよ。年金ばかり減らされて、年寄りの生活は大変なんだから」
「わかりました。私の頭に入れておきます」
「頭の中に入れておくだけじゃダメなのよ。実際にやってくれなきゃ、困るのよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私は無言でした。
その後その人は、私に対して無理難題、失礼極まりない発言をしましたが、詳しくは忘れてしまいました。地方議員に対して、何て無茶な、いや理不尽なことを言う人なのだろうかと、半分憤慨する気持ちを抑えつつ、私は黙って、その人が通り過ぎるのを待ちました。
返す言葉を持ってはいましたが、それを今ここで伝えても、きっとその有権者の耳には届かなかったことでしょう。
政治家にとっては、黙って耐えることもまた、求められる資質の一つなのです。
ではもし私が我慢できない政治家だとしたら、
以下のように答えていたかもしれません。
「『年金こそが大切だ』とおっしゃるならば、是非年金の大切さを訴えて、選挙に立候補してください。当選して、あなたが社会を変えてください」
昔、あまりにも無茶なことを言うコーチや国民がいて、その発言に切れたアスリートが言った言葉がありました。
「そんなにいうのならば、自分でやってみれば良い」
相手を黙らせるほどの、とても強いメッセージではありますが、この様な返事は相手を黙らせるのにとても有効なだけに、一種の禁じ手です。
政治家が使う場合は、特に自重しなければなりません。
立候補者には二つのタイプがいます。
1.有権者の言うことを聞いて、それを実現しようとするタイプ。
2.自分で問題を見つけ、それを解決しようとするタイプ。
どちらが良くてどちらが悪いということはありません。
ただし、私の場合は、やはり後者、つまり「自分で問題を見つけ、解決するタイプ」だと思っています。
そうでなければ、政治活動当初から、タバコ問題についてここまで強く訴えてはこなかったでしょうから。
もし私に何か仕事をさせたいと思えば、私がタバコ問題を解決したいと思っているのと同等の情熱を持って、私を説得してみてください。
社会学者のマックス・ウェバーによると政治家の素質は3つあると言います。
1.情熱
2.責任感
3.判断力
私は自分が情熱を感じるような政策で無いと、魂がこもった語りができない不器用な政治家なのです。
もし私を説得できるだけの情熱が、あなたにあるとするならば、あなたもまた政治家としての素質が立派にあると、私が認めます。