何もしないで当選できる選挙

昔、先輩議員からこんな事を言われたことがあった。
「田中けんは何もしないで当選できるんだから、いいよな~。俺なんか後援会維持するだけで、どれだけ金を使っていることか」
「そうですか。それはスゴイですね」

私を半分バカにしたような態度だったが、バカにしたければバカにすればいい。
後援会活動?
実際、私は目立った後援会活動などしてこなかったし、何もしていないと言われれば、何もしていないかもしれない。

でも、本当に「田中けんが何もせずに当選を続けてきた」と、その先輩が考えていたとしたら、それはバカだ。その先輩からは、田中けんが見えていないだけ。そうまるで私はステルスモモのように、先輩からは見えない存在。それでいい。
全然怖くない。

それからしばらくして、別の議員からこんなことを言われたことがあった。
「田中けんさんは選挙強いですよね。どうやったらそうやっていつも選挙に勝てるんですか」
「いやー、何もしてないよ」

私の選挙歴を見てもらえればわかるが、私は決して選挙に強いタイプでは無い。むしろ弱いタイプだと言って良い。実際の順位は、41位、16位、8位、15位、25位、41位となっている。人生初の一桁順位の8位では落選している。
そんな私に対して「強い」という称号は似合わない。
「この人、単純に私のことをヨイショしているのかな」
そうも考えたが、こんな下位に甘んじている現職議員に対しても興味関心を寄せる同僚議員の方が、バカな先輩議員よりもよっぽど怖いと思った。

人によっては、褒められると気分を良くして
「こんなことやった。あんなことをやった」
と、手の内をつまびらかに解説し、「成功の方程式」を無料で教えてしまう議員がいる。
だいたいその人の機嫌が良いときに、その方程式が何なのかを教えてくれる。もしその秘密を知りたかったら、当選直後に「おめでとうございます」と一声かけてから詳しく聞くといい。

野球でも相撲でもサッカーでも、ヒーローインタビューというのがあって、アナウンサーが「勝因は何ですか」と聞く。すると聞かれた選手は、興奮気味に勝った喜びを隠しきれず、語る、語る。こんな事まで話していいのかということまで、得意になって話してくれる。
興奮状態で機嫌が良い。こんな時、ちょっと本人のプライドをくすぐってあげれば、誰しもが饒舌になり、色々な事を話してしまう。

冷静な人はそれを聞いてしっかりと記憶する。

成功の1番の近道は、成功した他者の真似だから。

怖い怖い。

私のような下位当選、弱小議員が、何とか政界で生き残っているのに、その手法に探りをいれるような質問はしないでください。

本当に何もやっていない。24時間暇しているだけなんですから。かつての先輩議員のように、私のことを「何もやっていない議員」を思っていただいて結構です。